関西大学
英語
目次
一般入試
概観
大問 | 出題分野 | 解答箇所数 | 時間目安 |
---|---|---|---|
Ⅰ | 会話文、文整序 | 11 | 15分 |
Ⅱ | 長文読解(空所補充、内容一致) | 22 | 40分 |
Ⅲ | 長文読解(下線部、内容一致) | 17 | 35分 |
マークシート方式の試験であり、記述による解答はありません。
試験時間は90分です。
この試験における特徴は大きく2点と言っていいと思います。
1つ目は、大問Ⅰの文整序問題です。
それほどポピュラーな出題形式ではないため慣れていない受験生が多く、また、少し変わった解答の形をとっており、小さなミスが大きな減点となってしまうため、注意が必要な設問です。
2つ目は、何と言っても大問Ⅱの出題形式です。
後述する通り、15問の空所補充を含む変則的な長文読解問題となっており、十分な対策なしではかなり厳しい問題です。
また、大問Ⅱが約950語、大問Ⅲが約850語、と、どちらも長い長文のため、全体的に時間が厳しく、かなりの読解スピードが要求されます。
大問Ⅱには一定数文法や語法を問う問題が出題されるものの、基本的には、主に読解力を試す出題と言っていいでしょう。
- Point
-
- 文整序問題には要注意
- 大問Ⅱの対策が最重要
- 読解力中心の出題
問題傾向
Ⅰ 会話文、文整序
A 会話文
やや長めの会話文の中にある5つの空所にあてはまる応答を、それぞれ4つの選択肢の中から選ぶ会話問題です。
合計5問です。
一般的な出題形式であり、他の設問に比べて難易度は低いです。
時々会話特有の表現が見られますが、基本的には会話の流れを読み取る読解問題と見なせると思います。
確実に満点をとりたい設問です。
B 文整序
一つのまとまった文章における最初のパラグラフが与えられており、その後に続く5つのパラグラフを正しい順序に並べる問題です。
合計6問です。
それほど他大学で頻繁に見られる出題形式ではないため、苦手とする受験生が多い問題です。
また、解答の仕方が少し変わっており、設問が「(1)Aの次にくるもの(2)Bの次にくるもの(3)…」といった具合のため、例えばA→D→F→E→B→Cが答えだとすると、「(1)D(2)C(3)…」のように解答する必要があり、一つでも順番を間違えてしまうと自動的に複数の設問が不正解になってしまうという厄介な特徴があります。
そのため、完答できた受験生とそうでない受験生とで大きな点差がつくことになり、差がつきやすい設問だと言っていいと思います。
決して簡単な問題ではありませんが、高得点のためには絶対に満点をとりたい部分です。
Ⅱ 長文読解(空所補充、内容一致)
900語~1000語程度の長さの長文読解問題です。
「関西大学の英語」といえばこの大問と言っていいほど、特徴的かつ苦手とする受験生が非常に多い大問です。
設問は2つに分かれており、Aが空所補充15問、Bが本文内容一致7問、の、合計22問です。
900語~1000語という長さもさることながら、何より空所補充の多さが厄介です。
15か所の空所があり、そのそれぞれに対して4つの選択肢が与えられています。
ただでさえ苦手な受験生が多い空所補充の問題が一つの英文中でこれほど大量に出題されるケースは珍しく、かなり力のある受験生でも苦しめられるケースが多々あります。
出題のうち半分近くは文脈や本文内容の理解に関するもの、残りの半分は文法や語法、構文やイディオムの知識などを問うものとなっており、文法やイディオムの知識が不足している受験生が苦しむ例が多いように感じます。
また、「本文内容を読み進める→空所問題→本文→空所問題→…」という流れになるため、本文内容に集中できず、結局本文内容が読み取れない、というのが定番の悩みとなっています。
このため、Bの本文内容一致問題に関しては全て3択であるものの、決して楽に解ける問題ではありません。
一方で、出題形式が厄介な分、トピックや英文の難易度自体はそれほど難しくない場合が多いです。
全体的な難易度はやや高いと言っていいでしょう。
かなり厄介な出題形式となっており、徹底的な対策が求められます。
問題数の多さを考えても、間違いなくこの大問が最重要と言っていいと思います。
Ⅲ 長文読解(下線部、内容一致)
800語~900語程度の長さの長文読解問題ですです。
設問は2つに分かれており、Aが下線部に関する問題10問、Bが本文内容一致7問、の、合計17問です。
すべての設問において選択肢が3つとなっていることが特徴的であり、選択肢の吟味にはそれほど時間がとられないようになっています。
長さも大問Ⅱと比べると少し短いことが多いです。
ただ、大問Ⅱと比べてかなり専門性の高いトピックであることが多く、文章の難易度自体はこちらの方が高いと言っていいでしょう。
ただ、出題形式自体は、下線部の言い換えや指示語の指示内容、本文内容一致、など、一般的なものが多くなっています。
全体的な難易度はやや高いと言っていいと思います。
対策
Ⅰ 会話文、文整序
A 会話文
他の設問と比べると難易度はかなり低く、特別な対策の必要性は感じられません。
ただ、時々会話特有の表現が見られることもあるので、不安であれば、VintageやNext Stageなどの文法書で会話表現を一通りおさえておくといいでしょう。
B 文整序
十分な対策が必要な問題です。
問題を解くにあたって特に意識すべき点は次の2点です。
- ディスコースマーカーに着目する
- 指示語に着目する
ディスコースマーカーとは、文章を論理的に展開するために、また、その展開や流れを読者に分かりやすく示すために重要な役割を果たしている語や表現のことです。
例えば、と書き出せば、「これからディスコースマーカーの具体例を説明するんだな」と分かるように、この「例えば」も例示のディスコースマーカーの一種と言えます。
代表的なものとしては、however(逆説)、therefore(順接)、moreover(追加)、in conclusion(結論)、などが挙げられます。
こういった文と文のつながりを示す語が各選択肢の頭にあることが多いので、特に注意して見るように心がけましょう。
また、指示語に着目することも極めて重要です。
例えば、ある選択肢が「This idea is …」から始まっているとすれば、その選択肢の前にくる選択肢中で既にThis ideaについて触れられているはずだということが分かります。
itやthatやthose、場合によっては定冠詞theなども同様です。
ディスコースマーカーは無意識に着目できている人も多いですが、指示語についてはあまり意識していない受験生が多く見受けられます。
指示語は明確なヒントだということを強く意識する必要があります。
Ⅱ 長文読解(空所補充、内容一致)
上述したように、十分な対策が必要な大問です。
まずは、「大量の空所を埋めながら長い英文を読む」という行為自体に慣れる必要があります。
なので、他の大学にも増して、過去問で少しでも多くの演習を積むことが最重要となります。
また、「長文読解ができればいいだろう」と、文法や語法の知識を疎かにしている受験生が多く見られます(特に同志社大学志望の受験生)。
確かに、同志社大学や関西大学の試験においては、細かい文法的な知識よりも長文読解力の方が重要であるという考え方自体は間違っていません。
ただ、関西大学の試験において高得点をとろうと思えば、大問Ⅱの空所補充対策は必須であり、そのためには、やはり文法や語法の知識を無視することはできません。
かなり難しい発展問題やマニアックな文法問題まで必死にやる必要はありませんが、基本的な文法・語法問題に関しては一通りマスターしておくことをおすすめします。
長さや難易度は異なりますが、同志社女子大学の推薦入学試験Sの英語の問題は、一つの長文中に空所が25か所という特異な出題形式になっており、関西大学の空所補充の訓練に適した教材だと言えると思います。
Ⅲ 長文読解(下線部、内容一致)
出題形式自体は概ね一般的なものであるため、形式に対する対策自体はそれほど必要ありません。
他大学の志望者も比較的対応しやすい大問だと思います。
ただ、英文のトピックが難解であることが多いため、普段から抽象的な文章に多く触れるようにし、様々なトピックに関する背景知識を意識的に身につけるようにしましょう。
そのためには、単に英文を読んで終わり、あるいは和訳を読んで終わり、にするのではなく、読んだ文章の内容に興味を持ち、理解し、必要に応じてネットなどでさらに自ら情報を探しにいくよう心がけることをおすすめします。